mindscape blog
by mindscape-ltd
mindscape travel_04
キーブル・パレス

グラスゴー植物園は、グラスゴーのウェストエンド、グラスゴー大学の北の外れ、学生街と高級住宅地のボーダーのような位置にある。私が十数年前にここを訪れた時は、とてもエレガントなフォルムを見せながら、ボロく朽ちかけた温室があったのを覚えている。この温室が2006年に140億円をかけて大改修されたと聞いていたので、いつか訪れてみたいと思っていた。
a0073387_22172483.jpg
a0073387_22171527.jpg

この温室、通称「キーブル・パレス」と呼ばれ、元々19世紀、ビクトリア時代の発明家であり、エンジニアであったジョン・キーブルが設計し、建設したものである。このキーブルとは、河を走るための自転車や、世界最大のカメラを発明したことで、スコットランドでも語り継がれる変わり者である。キーブルは、1869年、この温室を最初に自身の家のあるロッチロングという場所に建てるが、1872年、植物園に寄贈をするべく、解体し、船に乗せ、50km離れたグラスゴーに運び、さらに中央のドームの直径を拡げ、手前に小ドームと2つの側廊を加えて建て直した。
a0073387_22165478.jpg
当初は、コンサートなどのイベントホールとして使われたのを、1881年、借地権を得たグラスゴー王立植物学協会が、主にオーストラリアのシダ類の展示温室として使用をはじめる。それに交えてバショウ(Japanese Banana)、シャクナゲ、ツバキ、今日では、小ドームに多肉植物と食虫植物のコレクションもある。今回の大改修も、一旦丁寧に解体された後、ヨークシャーに運ばれ、主要部のビクトリア時代の鉄の柱のいくつかは、鋼材に置き換えられ、組み立て直されている。
a0073387_2217518.jpg

この温室のデザインは、ビクトリア時代の作にしては、スッキリとエレガントなフォルムをしていて、装飾的要素も控えめである。キューガーデンのパームハウス(1848年完成)に、似ていなくもないが、中央の円形ドームのダイナミックな空間は、むしろこちらが勝っているように思える。超有名なジョセフ・パクストンのクリスタルパレスが、1851年にお披露目された後、ヨーロッパとアメリカで、温室建築が次々建てられる。規模が世界最大級のコテコテのビクトリアンなキューガーデンのテンペレイトハウス(1863年)や、欧州一エレガントと評されるベルギーのラーケン王立植物園の温室(1890年完成)、これらと同時代と考えても、全く見劣りがしない。

この温室、日没の早い冬は、午後3時くらいから照明が灯り、外から温室全体が発光体のように見えるそうである。
a0073387_22173796.jpg
(yng)
[PR]
by mindscape-ltd | 2008-09-04 22:35 | travel
<< rooftop party mindscape trave... >>


link
Mindscape
以前の記事
ブログパーツ
ライフログ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧