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カテゴリ:芝生ランドスケープ( 9 )
ハムズテッドヒースの芝生
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   ロンドンの北部、バーネットのM1高速インター近く(2002年春)

今現在進行中のあるプロジェクトで、屋上を芝生で緑化した上に、羊を放牧出来ないか、ということを真面目に検討している。その絡みで色々と情報収集をしていたところ、ロンドンのハムステッド・ヒースに羊を放とう、という運動が盛り上がっていることを知った。しかも、ここを管轄する、ロンドンシティ区役所がかなり乗り気だという。ここ数日のロンドンのタブロイド紙、ローカル紙を中心にその賛否が論じられている。
例えば:

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   2000年11月パーラメントヒルの北端

ハムステッド・ヒースとは、ロンドンの中心部から北に10kmほど行ったところにある、320haほどの広さを持つ広大な公園である。公園と言っても、都市の作り込まれたそれとは違い、元々の地形に森や池に広大な草地などからなる緑地と言ったほうが良い。ゴルフコースや、各種スポーツフィールド、一番北側には、ケンウッドというイギリスの風景式庭園のひとつがあったりもするが、ロンドン市街を一望できる草原の丘や、自然の動植物が多く生息する森が、ヒースの特徴を形づくっている。ここから見える市街の眺望は、ロンドン市の条例によって守られてもいる。google eathで見ると、概ね約半分ほどが草地、半分が森といった感じでだ。

ハムステッド・ヒースの草地は、19世紀頃までは、牛が放牧され、ロンドンの牛乳の大半を供給してたとされる。牛は戦前には姿を消したようだが、1958年までは羊が普通に放牧されていたという。しかしそれも、周辺道路の交通量が増え、交通事故が発生したり、犬好きのロンドンの人たちが犬を放し、羊に害が及ぶなどといった理由から、止めてしまったという。こうして、ロンドン近郊での羊は、南はリッチモンド周辺、北ではバーネットの辺りまで行かないともはやお目にかかれないことになってしまっている。
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   KenwoodのBrew House
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   Kenwood Houseの東側、ロンドンの市街が一望出来る

もう一方、私がこの近くに住んでいた1996年頃から、ハムステッドヒースでの芝刈りを止める、ということがニュースになっていたことがある。ヒースを管理するシティ区役所では、「芝は刈らない方が自然に見えて美しい」ということを理由に挙げていた。勿論メンテ費用を軽減化するという理由もあったと思われる。友人の生態学を学んでいた学生は賛成していたが、ヘビや野生動物が増えるだろうという憶測と、ウサギやリスなどは住み難くなっていなくなる、という意見に分かれていたようだ。2000年にロンドン・エコロジー・ユニットによる「ハムステッドヒース・芝生地の管理要項」が発表され、芝生の管理区分が細かく指定されるようになった。それによると、パーラメントヒルと呼ばれる、ヒースの一番南側のエリアのさらに一部のみが、週1回の芝刈りを継続し、それ以外は、基本的に年に1回。しかもエリア毎に時期をずらしてゆくローテーションが作られた。これによって、現在ハムステッドヒースでは、パッチワーク状に、草丈と状態が違う芝生が見られるようになっている。
(管理の要項は、ココに詳しく記されている。ちなみにケンウッドは、管理者が異なるので、綺麗に刈り込まれた芝生を含めた庭園がみられる)

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   パーラメントヒルの週1回の芝刈りを行っているエリア
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   以上2009年9月

ハムステッド・ヒースの芝生は、殆どが、ブルーグラス系(Poa pratensis)(イギリスでは、sweet grassと呼ばれる)の芝生であると思われる。一部にペレニアルライグラス(Lolium perenne)が混植されている、ということも聞いたこともある。いずれにしても、基本的には牧草であり、野性種ではない。ブルーグラスは、50cm近くまで丈が伸び、穂が出ると、80cm近くまで高くなる。一見野性的にも見えるが、そのまま放置し続けるとやがては、やせ細って貧弱になる。本来冬でも緑の常緑種であるが、秋以降は表面的に枯れて見えることが多くなる。また火災が発生する恐れもある。私の住んでいたフラットの近所に住むおばさんは、芝刈りを止めると、薄気味悪く、人が近寄り難くなる、と嘆いていた。確かに人の姿が減ったという話や、近年イギリスの外来雑草でも極めてタチが悪いとされる、Japanese Knotweed(イタドリ)をはびこらせる原因になっている、といった話も聞いたことがある。

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   2000年11月

さて、ここに来て羊を再び、という運動のひとつは、羊を芝刈りに利用するという目的があるという。「羊ほど、完璧な芝刈りをしてくれる者はいない」というのだ。かつての交通事故や、犬との棲み分けに関しては、弱い電力を流すフェンスを敷設することで解決できる、と。反対派は、電力フェンスの効能を疑い、羊が盗まれることを警戒しているようだ。区役所側は、10年以内に実現させると意気込んでいる。果たしてどうなるか、今後に注目だ。
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by mindscape-ltd | 2010-09-16 11:39 | 芝生ランドスケープ
グリニッジ、ミレニアムパーク
フランス人ランドスケープアーキテクト、ミッシェル・デスバインのランドスケープには不思議な重力が宿っている。地面の力を過度に感じるような重力ではなく、かといって、すごく軽やかなわけでもない。重心はやや低めにあるように思えるが、植物たちが地にしっかりと根を張っている感じがしない。しかし、そのシンプル極まりない植生の中に不思議と生命感と多様性を予感させる。また、水平方向への拡がりを感じさせるかと思えば、どこか有限的な終わりが見える気がする。そして、トポロジカルな関係性は、確信犯的に消されている。芝生という素材は、恐らくこうした感覚を表現するのにもかなり適しているのであろう。通常大面積の芝生がつくり出す、開放感があるべきスケール感も、デスバインの手に掛かると、どこか矮小化された感じを受け、ここがロンドンであるとは到底思えない。残念ながら写真では、この感じは十分に伝わらないかもしれませんが。

デスバインの追い求める「中間的な自然」とは、人間の知覚で感受する重力やスケール感とは別の次元の空間感を喚起しているに違いない。
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by mindscape-ltd | 2010-08-23 21:17 | 芝生ランドスケープ
きたまちしましま公園
日本芝と西洋芝でしましまをつくっています。冬になると、日本芝は枯れるので、コントラストがくっきり。夏になると縞模様が微妙な差に。設計は、我が師匠、上山良子氏

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以上は、冬の様子。緑の部分が西洋芝。茶色く枯れているのは日本芝

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下2枚は夏の様子。色がやや濃いのが西洋芝、薄いのが日本芝
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by mindscape-ltd | 2010-08-10 21:14 | 芝生ランドスケープ
芝生のランドスケープ  薄い膜のような芝生
グスタフスン・ポーター事務所によるロンドン、スイス・コテージのオープンスペース。中央には薄い水盤、その周囲を、ヒラヒラと舞うような、薄くしなやかな芝生。水も奇麗ですが、芝生がとても効いてます。
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by mindscape-ltd | 2010-07-16 01:37 | 芝生ランドスケープ
Grass Maze
ロンドンの近郊、RHSガーデン(王立園芸協会ガーデン)でみつけた、芝生のメイズ。ブルーグラス系の芝の毛足を伸ばしてつくった迷路。(俯瞰した写真が無いので、全体像がわかり難いですが)
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by mindscape-ltd | 2010-06-29 22:31 | 芝生ランドスケープ
新潟県立歴史博物館
新潟県立歴史博物館の庭、段差の一部の蛇籠に。設計は、プランタゴ田瀬理夫氏。

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by mindscape-ltd | 2010-06-26 20:41 | 芝生ランドスケープ
LABAN Dance Centre
ヘルツォーク&ド・ムーロンによるダンススクールのランドスケープ
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by mindscape-ltd | 2010-05-25 23:48 | 芝生ランドスケープ
Landform
チャールズ・ジェンクスによるランドスケープ(エジンバラ美術館)
関連:ポートラック・ハウス

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by mindscape-ltd | 2010-04-28 20:34 | 芝生ランドスケープ
Palais Omnisports Paris Bercy
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by mindscape-ltd | 2010-04-24 23:28 | 芝生ランドスケープ


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