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上海のプラタナス並木
ここ最近月1回ペースで通ってる上海。でも、街をゆっくり歩いたりといった時間など当然なく、打合せや現場見学程度で終わってしまうのが常だが、今回珍しく衝山路、復興路、淮海路付近の旧フランス租界地区を、日中ちょっとだけ歩く機会があった。実はこの辺を歩くのは、仕事で上海に来るようになる以前以来、約10年ぶりであったことに気がついた。(タクシーでは何度か通過しているが)噂通り、以前より格段とセンスの良いショップなどが増え、歩きやすい雰囲気になっている。この地区を特徴づけているのは、フランス租界時代に造られた古い建築とプラタナスの並木である。
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世界の4大街路樹のひとつと言われるプラタナス(他は、ニレ、ボダイジュ、マロニエ)。ほぼヨーロッパ全域、北アメリカ、南アメリカ、オーストラリアなど温帯地域のほぼ全域で見られる。しかし、これらの地域で街路樹として見られるプラタナス(鈴懸の木)の多くは、正確にはモミジバスズカケノキ(Platanus x acerifolia)(イギリス英語でLondon Planeと呼ばれるもの)という交配種である。原種のプラタナス(Platanus orientalis)は、西アジアからヒマラヤ付近の原産といわれ、500年以上前のペルシャ庭園や北インドの庭園にも頻繁に登場しており、この地域では現在でも普通に目にするが、日本、中国には比較的少ない(もちろん自生はしてない)。もうひとつのモミジバスズカケの原種、アメリカスズカケノキ(Platanus occidentalis)のほうは、北米の特に北の方で見られ、かつてはウォールストリートのニューヨーク証券取引所付近にもあったそうで、1792年設立にあたっての協定は「すずかけ協定」(Buttonwood agreement:Buttonwoodはアメリカ英語のプラタナス)と言われる。(しかし、アメリカでも私の印象では今日の一般的な街路樹などにはモミジバの方が多い気がする)

さて、このプラタナスが中国に最初に導入されたのは、この上海で、1902年、フランス租界のAvenue de Joffre (現在の淮海路)が整備されるに際してのことである。このため、中国ではプラタナスのことを俗に「法桐」(法はフランスのこと)と呼んでいる。中国式の正式名称は「二球懸鈴木」。「二球」は、モミジバスズカケを表し、集合果が果軸に2個程度つくから。つまり他に、「一球懸鈴木」がアメリカスズカケ(集合果が果軸に1個)、「三球懸鈴木」がスズカケノキ(集合果が果軸に3個以上つくから)と区別しているようである。当時の写真を見ると、高さ5m強、幹の太さが20cmくらいに見える。今日高さは10m以上、幹の直径は太いもので80cmくらい。
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このように、プラタナスといえば、鈴懸けの名の由来となっている実も特徴的であるが、街路樹としては、鹿の子のような迷彩模様の樹肌が他にない存在感を現す。そして幹や大枝は、なんともモッチリとした、独特の膨らみ方をして、枝振りも自由奔放にノビノビしている。さらに、上海のプラタナスが特異なのは、その枝張り(枝の横方向の伸び)の大きさである。よく見ると、樹高はそれほど高くない(とはいっても10mあるものはザラだ)が、しかしある高さから枝が3方くらいに広がって、枝張りも、大きいものは10mに達する。ちょっと小さめの道であれば、両側からすっぽり天蓋になって覆われ、見事な木陰の通りとなっている。これは、芯打ちという、幹の先端を早い時期に切ってしまい、枝を横に出させて伸ばすという仕立て方を意図的に行っているからである。このメリットは、緑陰を広くつくることと同時に、真ん中の幹の直上に電線がある場合、それを避けることも出来るからである、と以前上海の園林関係者が言っていた。同じ方法でつくられてはいるものの、これだけの歳月を経た巨木のプラタナスは、各々が実に個性的である。新宿御苑のプラタナスとはとても対照的。また、最近のランドスケープ設計の基本セオリーも、お行儀良く(もっと言えば真っ直ぐ垂直に立って)、均等に枝が四方に広がった、均質的な樹を、均一のピッチに植えていくというものが殆どである(もちろんこれは暗黙のデザイン的な傾向の話)が、そんな良い子の街路樹たちをあざ笑っているかのように、ここ上海のプラタナスはノビノビと羽根を広げている。それと相まって、樹間ピッチが短いため(平均5m程度)、緑陰がたっぷり出来るのと同時に、低い枝振りの存在感も増し、低層街区の連続の中で、独特のスケール感を生み出している。
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中国では、意外と風格のある樹木に出会うことが少ない。中国原産と言われるイチョウやメタセコイア、ユリノキなども、日本で見るほどの立派な樹勢のものには滅多にお目にかからない(特に上海近郊では)。上海の新しく開発された地区でも、建築は勢い良く堂々としていても、街路樹の多くはまだまだよそよそしく、ひ弱な印象を与えるものが殆ど。そこにきて、この地区のプラタナスの並木だけは、時間を感じさせ、これだけで街並に風格を与えていることは確かだ。次は冬に行った時、枝ぶりだけをもっと観察してみたい。
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by mindscape-ltd | 2010-07-28 20:27 | 上海サンポ
芝生のランドスケープ  薄い膜のような芝生
グスタフスン・ポーター事務所によるロンドン、スイス・コテージのオープンスペース。中央には薄い水盤、その周囲を、ヒラヒラと舞うような、薄くしなやかな芝生。水も奇麗ですが、芝生がとても効いてます。
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by mindscape-ltd | 2010-07-16 01:37 | 芝生ランドスケープ
mindscape travel_15 イゾラ・ベッラ
mindscape_travel ここまで数回にわたり、中国蘇州の街から清の時代の庭園を幾つか訪ねてきましたが、ここで中国から一気に北に飛んで、イタリアのルネサンス庭園のひとつに行ってみましょう。やはり蒸し暑い夏は、こういう避暑地に逃げたいものです。ここは、イタリア北部、ミラノから更に200Kmほど北、スイス国境に近いマジョーレ湖に浮かぶ、「イゾラ・ベッラ」という避暑別荘です。イタリア・ルネサンス様式の露壇式を典型的に表し、マニエリスムからバロック的要素を色濃く出した庭園。何と言っても、湖上に浮かぶ孤高の要塞庭園というロケーションが、訪れる前からの期待感を増幅します。対岸から小さな船に乗って約15分ほど。こういうアプローチは格別です。

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「イゾラベッラ」は、300m×400mほどの小島。ミラノの名家、ボロメオ家のカルロ3世が、妻イザベラのための別荘として構想し、建築家アンジェロ・クリヴェッリの設計によって1632年に着工します。度重なる中断により庭園を含めて完成したのは1671年、カルロ3世の甥、カルロ4世の代になってから。完成後は、演劇やパーティーが毎晩のように催され、賑わいました。ボロメオ家にとっては、当初は非公式な、そしてやがては公式な社交場となっていきます。庭園は、別荘とは言え、この時代から秘密の花園的雰囲気を担保しつつ、多くの人々を招いて楽しむ場となり、政治的会談や商談などのイベントにも利用されます。バロック特有の劇場的な様相を呈して行く一方、珍しい植物の収集生育場、多様な彫刻やオブジェ、水や休憩施設などなどのエレメントが複合的、複雑に絡み合って空間が出来上がっていくところも興味深い。基壇がセットバックしながら積み上がる中央のテラスは、シンメトリカルに安定的ではなく、宮殿とも微妙にズレた軸性を持ち、ボロメオ家の紋章であるユニコーンやビーナスに混じって、ローマ神話やギリシャ神話をモチーフにした動物やニンフの彫像、オベリスクなど置かれ、宮殿の造りと合わせて、どこか迷宮的な混沌が表れています。それでも一番高台に上がって、湖と遠くの山々を見ると、船のデッキに上がったような清々しい心地にさせてくれます。

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この庭園の中で、一貫して現れる、表面がゴツゴツとした、少々グロテスクなテクスチュア。そう、グロテスクの語源と言われる「グロット(=洞窟)」の造作が、建築空間の狭間を埋め尽くすかの如く、様々な場面で顔を出しています。ハイライトをなしている場所は、ボロメオの宮殿内の、シェル・グロットと言われる応接間(現在は展示室)と、庭園の段々テラスの内側の突端にある、「ビーナスの泉」。シェル・グリッドは、少々暗い、まさに洞窟的な雰囲気をもった、でも完璧なインテリア空間。「ビーナスの泉」の方は、カラッとした屋外。山奥の避暑地の湖であるのに、海を連想してしまします。いずれも、これより初期のグロットに見られた、自然を装った有機的な造りではなく、あくまで建築の壁面に沿ったテクスチュアであったり、雛壇に整然とデザインされていたり、と、かなり人工的にデザインされているのが分かります。

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グロットは、1580年代からイタリア庭園の中に顕著に現れ始めますが、初期の頃は、庭園のある一部分に、洞穴状に掘られた場所に、有機的な石を組み上げたものだったり、どちらかと言えば、怪奇趣味的な要素として持ち込まれていた感がありました。しかし、それが徐々に表へと出てきて、ここイゾラ・ベッラにおいて、庭園の中心的な要素として取り入れられるまでとなり、ひとつのピークに達したと見ることが出来ます。よく、神秘主義の嗜好であるとか、混沌とする世の内面的な逃避先として好まれたとか、解説されることが多いようですが、私には、もっと大きな世界を見通しているように思えてなりません。それは、海であり、さらに遥かかなたの世界のようにも感じます。(続く)
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by mindscape-ltd | 2010-07-07 00:02 | travel
芝生のエッジ
屋上緑化などで、芝生と舗装などのハードな素材の見切りを芝生だけににする。
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芝生が純粋に床の上に乗っているようにみせる。
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↑ このような現状のエッジを
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↑ こういうふうに。
peddyの製作をして頂いた山崎産業の屋上緑化資材を使って実験開始。これで、エッジがラインのように見えずに、純粋に芝生だけがのっかたような面がつくれる!(はず)
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by mindscape-ltd | 2010-07-01 16:11 | peddy


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