mindscape blog
by mindscape-ltd
<   2010年 09月 ( 7 )   > この月の画像一覧
ガジュマロ
a0073387_055065.jpg

ベンジャミンやガジュマロなどイチジク属の木で、籐の編み物やトラスの柱のような不思議な形状に仕立てた観葉植物を見たことがあるだろうか?個人的に、見た目の趣味が良いと思わないが、この木の特徴を生かしたつくりものとしては、ちょっと面白い。バニヤンというインドボダイジュの系統のこれらの木は別名「絞め殺しの木」とも呼ばれ、伸びた幹枝から気根を垂らし、それが地面に達すると、今度は上から舞い降りた幹のようになって、元々下から伸びた幹を締め付けて行く。他の木に着生して絞め殺すこともあるが、自らの元の木をも殺す。熱帯から亜熱帯において、熾烈な光の獲得競争の中で、このような生活形を獲得してきたと言われる。この性質を上手く利用し、上から出た気根をネット状に仕立てて、最後に、元々の幹を腐らせて取り除くと、中が空洞の鉄塔のような仕立ての観葉植物にもになるわけだ。バニヤンよ呼ばれるインドボダイジュの系統は、ヒンドゥー教、仏教を通じて聖木とされ、寺院等に好んで植えられているのは有名であるが、中でもチャイニーズ・バニヤン(Chinese Banyan)と言われる、ガジュマロ(Ficus microcarpa)は、更に生存力が強く、コンクリート構造物の上でも発芽し、旺盛に成長することで知られる。カンボジアのアンコールワットでは、寺院の石の土台から建物を覆うように生えていたり、日本では、屋久島の中間川の下流にある通称「中間ガジュマロ」という、ネット状で真ん中にトンネルまであるユニークなガジュマルが存在する。
a0073387_055959.jpg

元々は、日本の九州南部辺りから沖縄、台湾、中国の南部、マレー半島、スリランカ、オーストラリアまで、亜熱帯から熱帯にかけて幅広く分布し、成長が早く、広い枝張りで豊かな緑陰を形成することから、北アメリカの南部(ハワイを含む)、から南アメリカの諸都市でも植えられてきた。特に19世紀末にはリオデジャネイロの都市計画において公園を中心に計画的に多く導入された。しかしながら、鳥を媒介とした旺盛な繁殖力が、在来種を脅かしはじめたと言われ、これらの国では、今や、危険な侵略者とされてしまっている。一方、アジア諸国では、先のような仕立てや、盆栽、一般的な観葉植物としてポピュラーで、中国南部の各都市(福州、アモイ、スワトウ、広州など)では、最も一般的な街路樹となっている。仕立てがしやすい分、お行儀良く管理された木も多い(特に中国本土の南部の都市)が、台湾や香港では、何故か街中でも、ワイルドな木に出会うことが多い。

香港九龍半島側随一の繁華街、尖沙咀(チムサーチョイ)辺りから彌敦道(ネイザンロード)を北に向かって歩き、重慶大厦を過ぎて、もう1ブロックほど進むと、急に通りが暗くなる一角がある。西側は九龍公園の入口から低層の商店街が続く通りであるが、車道と歩道の境界部に、大きなガジュマルが何本も、恐竜のように、高く、幅も広く、奔放に伸びている。よくみると、やはり気根が幹に絡みつき、動物の血管か、または機械の複雑な配線が外部に露出したかのような幹を勝手な方向に伸ばしている。現在ここにあるガジュマロ(中国名は「细叶榕」)は23本、1908年に植えられたものらしく、現在推定樹齢は70〜120年、幹周り1.2m、高さ16m 、枝張り11m(各々平均)ということだ。1950年代前までは、彌敦道の南から北にかけて、一定ピッチで3km近い距離をかけて、ぎっしり植わっていたらしいが、道路の拡張整備と周囲ビルの高層化、そして香港名物の道路に長く張り出した看板の見えを阻害するなどの理由から伐採され、この公園の前だけが何とか残された、という話を聞いたことがある。また別の人からは、九龍公園に1970年まであった当時のイギリス軍施設が、香港植民地政府の進めてきた1930年代からの九龍半島の都市計画をめぐって綱引きをし、軍がこの部分の木を死守していた、という話も聞いた。いずれも本当かどうか、キチンと調べたことはないが。しかしながら、現在ある23本は、現在の香港政府の環境局によって、重要保存樹木に指定されていることは事実である。
a0073387_072313.jpg
a0073387_061171.jpg
a0073387_062362.jpg
a0073387_064153.jpg
a0073387_065269.jpg
a0073387_065871.jpg
a0073387_07440.jpg
a0073387_074750.jpg

ガジュマロは、自然の木としては、実に強かな生存方法を身につけている一方、人の手に掛かるとお行儀良くもなる(手なづけ易い)。しかし、最初の誘導を怠ると、都市のど真ん中にこのような姿で生き続けることになる。この強靭な木は、恐らく香港のコンクリートジャングルを幹肌、枝先や葉先で感じ取りながら、生存と繁殖の道を探り続けているはずである。
a0073387_075812.jpg
a0073387_0114933.jpg

[PR]
by mindscape-ltd | 2010-09-28 00:22 | plants
中秋の名月
9月22日、中秋の名月。屋上にて「お月見の宴」を催しました。
a0073387_17351038.jpg

今回は、いつもお世話になっている方々に加えて、ご近所で活動する方々、ご無沙汰していた方々など、30人にお集まり頂きました。夜半から雨という予報に反して、最後まで雨はなく、気持ちの良い風の通り抜ける中、時々雲に隠れながら移動する月の下、午前3時まで盛り上がりました。(写真は、すべて大森ロッヂの天野さんのご提供)
a0073387_17344995.jpg

a0073387_1735243.jpg

a0073387_17345744.jpg

a0073387_1735673.jpg

[PR]
by mindscape-ltd | 2010-09-24 17:47 | daily
ハムズテッドヒースの芝生
a0073387_1117527.jpg
   ロンドンの北部、バーネットのM1高速インター近く(2002年春)

今現在進行中のあるプロジェクトで、屋上を芝生で緑化した上に、羊を放牧出来ないか、ということを真面目に検討している。その絡みで色々と情報収集をしていたところ、ロンドンのハムステッド・ヒースに羊を放とう、という運動が盛り上がっていることを知った。しかも、ここを管轄する、ロンドンシティ区役所がかなり乗り気だという。ここ数日のロンドンのタブロイド紙、ローカル紙を中心にその賛否が論じられている。
例えば:

a0073387_1117489.jpg
   2000年11月パーラメントヒルの北端

ハムステッド・ヒースとは、ロンドンの中心部から北に10kmほど行ったところにある、320haほどの広さを持つ広大な公園である。公園と言っても、都市の作り込まれたそれとは違い、元々の地形に森や池に広大な草地などからなる緑地と言ったほうが良い。ゴルフコースや、各種スポーツフィールド、一番北側には、ケンウッドというイギリスの風景式庭園のひとつがあったりもするが、ロンドン市街を一望できる草原の丘や、自然の動植物が多く生息する森が、ヒースの特徴を形づくっている。ここから見える市街の眺望は、ロンドン市の条例によって守られてもいる。google eathで見ると、概ね約半分ほどが草地、半分が森といった感じでだ。

ハムステッド・ヒースの草地は、19世紀頃までは、牛が放牧され、ロンドンの牛乳の大半を供給してたとされる。牛は戦前には姿を消したようだが、1958年までは羊が普通に放牧されていたという。しかしそれも、周辺道路の交通量が増え、交通事故が発生したり、犬好きのロンドンの人たちが犬を放し、羊に害が及ぶなどといった理由から、止めてしまったという。こうして、ロンドン近郊での羊は、南はリッチモンド周辺、北ではバーネットの辺りまで行かないともはやお目にかかれないことになってしまっている。
a0073387_11172938.jpg
   KenwoodのBrew House
a0073387_11173487.jpg
   Kenwood Houseの東側、ロンドンの市街が一望出来る

もう一方、私がこの近くに住んでいた1996年頃から、ハムステッドヒースでの芝刈りを止める、ということがニュースになっていたことがある。ヒースを管理するシティ区役所では、「芝は刈らない方が自然に見えて美しい」ということを理由に挙げていた。勿論メンテ費用を軽減化するという理由もあったと思われる。友人の生態学を学んでいた学生は賛成していたが、ヘビや野生動物が増えるだろうという憶測と、ウサギやリスなどは住み難くなっていなくなる、という意見に分かれていたようだ。2000年にロンドン・エコロジー・ユニットによる「ハムステッドヒース・芝生地の管理要項」が発表され、芝生の管理区分が細かく指定されるようになった。それによると、パーラメントヒルと呼ばれる、ヒースの一番南側のエリアのさらに一部のみが、週1回の芝刈りを継続し、それ以外は、基本的に年に1回。しかもエリア毎に時期をずらしてゆくローテーションが作られた。これによって、現在ハムステッドヒースでは、パッチワーク状に、草丈と状態が違う芝生が見られるようになっている。
(管理の要項は、ココに詳しく記されている。ちなみにケンウッドは、管理者が異なるので、綺麗に刈り込まれた芝生を含めた庭園がみられる)

a0073387_11172451.jpg

a0073387_11171951.jpg

a0073387_11171458.jpg

a0073387_1117862.jpg

a0073387_1117279.jpg
   パーラメントヒルの週1回の芝刈りを行っているエリア
a0073387_11165881.jpg

a0073387_11165325.jpg
   以上2009年9月

ハムステッド・ヒースの芝生は、殆どが、ブルーグラス系(Poa pratensis)(イギリスでは、sweet grassと呼ばれる)の芝生であると思われる。一部にペレニアルライグラス(Lolium perenne)が混植されている、ということも聞いたこともある。いずれにしても、基本的には牧草であり、野性種ではない。ブルーグラスは、50cm近くまで丈が伸び、穂が出ると、80cm近くまで高くなる。一見野性的にも見えるが、そのまま放置し続けるとやがては、やせ細って貧弱になる。本来冬でも緑の常緑種であるが、秋以降は表面的に枯れて見えることが多くなる。また火災が発生する恐れもある。私の住んでいたフラットの近所に住むおばさんは、芝刈りを止めると、薄気味悪く、人が近寄り難くなる、と嘆いていた。確かに人の姿が減ったという話や、近年イギリスの外来雑草でも極めてタチが悪いとされる、Japanese Knotweed(イタドリ)をはびこらせる原因になっている、といった話も聞いたことがある。

a0073387_11174473.jpg

a0073387_11173987.jpg
   2000年11月

さて、ここに来て羊を再び、という運動のひとつは、羊を芝刈りに利用するという目的があるという。「羊ほど、完璧な芝刈りをしてくれる者はいない」というのだ。かつての交通事故や、犬との棲み分けに関しては、弱い電力を流すフェンスを敷設することで解決できる、と。反対派は、電力フェンスの効能を疑い、羊が盗まれることを警戒しているようだ。区役所側は、10年以内に実現させると意気込んでいる。果たしてどうなるか、今後に注目だ。
[PR]
by mindscape-ltd | 2010-09-16 11:39 | 芝生ランドスケープ
ダイアナ、プリンセス・オブ・ウェールズ・メモリアル・ファウンテン
a0073387_1534941.jpg

グスタフスン・ポーターは、アメリカ人ランドスケープアーキテクト、キャサリン・グスタフスンと、イギリス人のニール・ポーターによって結成された、ロンドンをベースに活動するデザイン事務所である。ポーターは、ベルナール・チュミの下でラヴィレット公園の設計に携わり、その後グスタフスンとチームを組み活動をはじめた、イギリス人の数少ない先鋭的なランドスケープ・アーキテクトである。

2004年、彼らの代表作のラインナップに新しく加わったのが、「ダイアナ、プリンセス・オブ・ウェールズ・メモリアル・ファウンテン」である。これは、その名の通りダイアナ妃の死を悼んで、ハイドパークの、サウス・ケンジントン寄り、「セルペンタイン(蛇)」と呼ばれる池のほとり、1エーカー(約4000平米)ほどの敷地内につくられた、楕円形の水路と芝生、園路だけのシンプルでエレガントな記念広場である。

デザインのコンセプトは、グスタフスン・ポーターのホームページに、以下のように説明されている。

ー グスタフスン・ポーターのデザインは、「リーチング・アウトーレッティング・イン(手を差し伸べることー受け入れること)」というコンセプトを体現している。これは、プリンセスが人々に最も愛された気品、即ち彼女の持つ包容力と親しみ易さに基づくものである。開放的なランドスケープに囲われた存在感のある噴水は、外に向かって放たれる、同時に人々を強く惹き付けるエネルギーを持っている。泉を流れる水は、石のテクスチュアと、ジェット噴水などと相まって、実に多彩な表情見せている。ー(筆者訳)
a0073387_15341573.jpg

a0073387_15342038.jpg

芝生の広場に、エレガントなフォルムの歪んだ楕円の、白御影石で作られた幅訳1.5mほどの水路。一見、極めてシンプルに見えるモニュメントであるが、流れに沿って、モニュメントを一周すると、静かな湧き水に始まり、カスケード(段々の落水)、早く細い流れ、石に当たって飛沫を上げたり、静かな水たまりとなったり、実に多彩な水の表情が次々と現れる。そして、その部分部分での水音でもわかるほどに、かなりの水量があり(毎秒100リットルの水量をポンプアップしているとのこと)、相当の技術的なチャレンジが背後に潜んでいることも想像出来る。この辺りも彼らのホームページに詳細に記されているが、クレイ模型を基に3Dのモデリング、コンピュータによる解析と調整を重ね、多くの技術者と共に、作り上げられたとのことである。このクレイ模型から3Dのモデリングを行い、それを基に機械彫刻によって、この水路の石が完成している、という点も注目に値する。そう、この水路の石の作りをよく見ると、明らかに、職人が手で彫って製作したのとは異なる風合いの彫り味が現れている。カスケードの段々に刻まれている縦方向のスリット、鱗状の曲面、岩肌のようなゴツゴツとした突起、この精巧なリズムの反復は、人が手で作り上げるテクスチュアとは明らかに異なる。モニュメントといっても、垂直に突出した彫像物ではなく、極めて繊細な先端技術とデザインの融合というあたり、まさに気品のある、新しいモニュメントである。
a0073387_15351518.jpg

a0073387_15352266.jpg

a0073387_15352898.jpg

a0073387_15353231.jpg

a0073387_15354012.jpg

a0073387_15354770.jpg

a0073387_15355352.jpg

a0073387_15355875.jpg

a0073387_1536297.jpg

a0073387_1536645.jpg

[PR]
by mindscape-ltd | 2010-09-10 15:39 | travel
都市・建築ワークショップ:都市は誰のものか?
以前にもご案内しました、建築家の緒方恵一さん、安斎哲さんらによるワークショップの発表会と、他のゲストを迎えてのレクチャーが、9月12日(日)と、9月16日(木)に開催されます。是非ご参加下さい。都市の考察と新たな発見のための実験手法。テーマは「映像言語」。ワークショップのモチーフは、現在建設中のスカイツリーだそうです。
a0073387_1658178.jpg

a0073387_1658622.jpg

[PR]
by mindscape-ltd | 2010-09-10 12:00 | info
レオニー
a0073387_23213058.jpg

イサムノグチの母、レオニー・ギルモアの生涯を描いた映画、「レオニー」が11月に公開されます。イサムノグチの幼少期、生まれ育った環境、社会背景もとてもよく分かりますが、主人公はあくまで母レオニー。あの時代に女性が幼い子どもひとり連れて、異国の地を訪れ、様々な困難に遭遇しながらも逞しく生きていく様子がたのもしい。とても清々しい気分になれます。お楽しみに。
[PR]
by mindscape-ltd | 2010-09-07 23:30 | info
塩尻えんぱーく のサイン
a0073387_1995372.jpg

a0073387_19102257.jpg

「塩尻えんぱーく」には、都市の複雑さと自由を許容した壁柱の空間構成と、一体的/自立的に、もうひとつの面白い世界が展開している。それは、自身が建築家でもある寺田尚樹氏が担当をした、サインデザインだ。公共空間のサイン計画といえば、お約束事も多く、とかく型に嵌って、中途半端に恣意的な存在感を出しがちとなるところを、機能性を十分に満たしつつ、一方でとても伸び伸びと、自由自在な展開をしているこのサインは、あたかも、この公共空間の中に、誰も知らない別世界があるかのようである。
a0073387_1994064.jpg

a0073387_1993454.jpg

a0073387_1992546.jpg

サイン全体のスケール感が、とても不思議だ。一連のサインの中で、通常のピクトグラムのように登場する絵に描かれた人々は、実は、寺田氏が近年デザインして、ヒット商品となっている、「1/100建築模型用添景セット」シリーズを展開したものである。つまり、平面的な人型の切り絵のようなデザインを敢えて、ピクトグラムのように扱っている。通常のピクトグラムが、目的や対象をグラフィック化するのに対して、ここでは、行為が描かれている。しかし、決して視認性を軽視したわけではなく、ピクトが名称の文字表記を常に併記している前提の上で、絶妙な味覚のを出し、時に、「クスッ」っと笑いを誘う演出がなされている。
a0073387_1991499.jpg

a0073387_1995767.jpg

a0073387_19101343.jpg

本のマークに利用される付箋をモチーフにしたとされる、半分壁に、半分垂直に浮き出たリボン状のサインも、まさに半分は、現実空間に顔を出し、半分は別のお伽の世界に寄り添っていることを暗示しているように、しなやかで軽やかだ。このサインをどこまでも追いかけて、この建物を一週するのは、鉄道マニアが都市の中で電車に乗ることだけを目的として都市を十分満喫できるのと同じ、このえんぱーくが、都市的な複雑性と複合性を許容している証しでもあろうか。
[PR]
by mindscape-ltd | 2010-09-07 19:13 | project


link
Mindscape
以前の記事
ブログパーツ
ライフログ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧