フランス人ランドスケープアーキテクト、ミッシェル・デスバインのランドスケープには不思議な重力が宿っている。地面の力を過度に感じるような重力ではなく、かといって、すごく軽やかなわけでもない。重心はやや低めにあるように思えるが、植物たちが地にしっかりと根を張っている感じがしない。しかし、そのシンプル極まりない植生の中に不思議と生命感と多様性を予感させる。また、水平方向への拡がりを感じさせるかと思えば、どこか有限的な終わりが見える気がする。そして、トポロジカルな関係性は、確信犯的に消されている。芝生という素材は、恐らくこうした感覚を表現するのにもかなり適しているのであろう。通常大面積の芝生がつくり出す、開放感があるべきスケール感も、デスバインの手に掛かると、どこか矮小化された感じを受け、ここがロンドンであるとは到底思えない。残念ながら写真では、この感じは十分に伝わらないかもしれませんが。
デスバインの追い求める「中間的な自然」とは、人間の知覚で感受する重力やスケール感とは別の次元の空間感を喚起しているに違いない。
by mindscape-ltd
| 2010-08-23 21:17
| 芝生ランドスケープ
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